気胸入院 6〜8日目

5日目に撮ったレントゲンの結果が芳しくない。
4日目まではキレイに戻りつつあった肺が、ドレーンを止めた途端にまたしぼみ始めたらしい。
残念ながら、また手術を勧められてしまう。

通常なら手術をすると再発率が5〜10%と一気に下がり、術後は順調にいくと2〜3日でドレーンが抜けて退院できる。
しかし、わたしの肺はレントゲンやCTで見ても、切除すべき部分(穴が空きやすい、ブラと呼ばれる部分)が見つからないという。
手術は開胸でなく2,3箇所穴をあける胸腔鏡手術で、内視鏡で中を見ればブラの位置が見え、切除できるかも知れない。
でも、何も原因がわからないまま手術を終え、痛み損になる可能性も五分らしい。
今回はドレーンのみで完治まで様子を見て、また再発したら手術を考えるというのでも構わない、と選択肢を拡げられる。


非常に悩んだ。
自分はとにかく手術が恐ろしいので早く帰りたいし、家族は当然根本治療を期待して手術を希望している。
やだやだやだー!と駄々をこねて帰るのは簡単だが、手術をしたらもうドレーンの苦しみも味わわずに済むかもしれない…経験したからこそもう二度とやりたくないのがドレーンである。

1日考えて、やはり手術を選択した。
もうこれは素人では決められないので、プロが可能性を考えて勧めてくれるんだから期待しよう…医者任せである。

手術までの数日は、ドレーンは無痛に近い状態になり、処刑前の最後の余暇という感覚だった。
手術前々日には家族とともに手術の説明を受ける。他の症例のレントゲンと比べても、つるっとして異常がよくわからん自分の肺が嘆かわしい。
手術の同意書の他に、輸血、麻酔などの薬剤、輸血前の血液検査についての同意書にサインする。この手術で輸血することはまず無いらしいが、輸血の際はHIVウイルスの検査をするそうだ。いろいろと配慮されている。

呼吸器内科に入院していたが、手術前日には外科病棟へ移動した。
腹式呼吸の練習器具(呼吸量でボールを上げ下げするもの?)を渡されるが、説明書には「手術1週間〜前日まで練習しましょう」とある。前日だけやってもあまり意味ないな、と思いすぐ投げ出す。

さすがに緊張で夜は眠れない。
体のコンディションは痛みもなく、夕食は完食したので最高に活きのいい状態といえるが、とにかく寝つけない。
寝る前に、看護師さんから「30代までくらいの若くて車酔いしない女性は、全身麻酔で酔いやすいですよ〜」と言われて急激に心配になったというのも一因。看護師さん自身も全身麻酔経験者で、ぐらんぐらんに酔ったらしい。不安…
結局、合計で30分も睡眠をとらないまま、手術当日を迎えた。