気胸入院 手術当日

手術は正午開始、と言われていた。
昨日の21時から絶食で、朝9時からは水も飲めない。
なんにしろ緊張で何も口にする気になれない。

朝10時から点滴が刺される。
手術中、麻酔の投与や輸血にも使う可能性があるため、太めの針を刺すとのこと。
「太め」と聞いたからか、なんかもうめちゃくちゃ痛い。
注射であまり痛みを感じない方だがこれは悶絶。途中、3回ほどに分けてググッと押し刺されるのが地獄。体をよじって我慢。

麻酔科の医師、主治医のほか助手の医師などが代わるがわる来てくれる。
麻酔の事前説明では、全身麻酔の他に、背骨の間に刺す「硬膜外麻酔」とやらを1〜2日程投与して痛みを抑えるということだったが、前日の血液検査でひっかかり、急きょ普通の点滴麻酔に変更となる。
血液が基準値よりややサラ〜ってぐらいなので、硬膜外麻酔では少し血栓の心配がなきにしもあらず、ということで効き目は劣るが安全な普通の点滴にするらしい。
退院後は玉ねぎを食べて血液サラサラを目指すしかない。

前の手術が押している。
メディキュットみたいな血栓予防の着圧靴下を履いたり、術衣に着替えたりしてその時を待つ。
結局、手術室へ移動したのは13時過ぎだった。

ドレーンの機器を携えながら、歩いて移動する。ど近眼なので、直前まで眼鏡着用を許可される。
手術受付に着いたら担当の看護師さんが自己紹介してくれ、氏名・生年月日と、術部を口頭で確認される。
「今日は何の手術ですか?」
「肺気胸の手術です」
「どちらの肺ですか?」
「右です」←このとき、別の看護師さんがでかいポップ体の文字で「みぎ」と書かれたカンペを持ってたのが謎である。ファンサうちわのようで照れる。
シャワーキャップのような帽子を被って、いよいよ手術室に入る。

さっそくベッドに寝かされ、また氏名・生年月日と術部の確認があった。
胸の右側にふせん?をつけられる。間違ったら大事だもんな。
ベッドはかなり狭いが、電気毛布が敷いてあるのか温かくて気持ちいい。
ところで手術室にはJPOPが流れている。EXILE系である。メスさばきがノリノリになってよいのだろうか?

「酸素のマスクを口にあてます。段々とぼんやりしてきます」と、これはまだ全身麻酔ではないが、マスクをあてられた瞬間ぐにゃっと視界が回り、ほどよく酒に酔ったような愉快な気持ちになる。
「麻酔を点滴から入れます。眠くなるまで、大きく息を吸ってはいてください」
ここで吸ってーはいてー吸ってーはいてーと意識していると、1分ほどで眠りに落ちた。


と思ったら、次の瞬間手術は終わっていた。
病棟のベッドに移し替えられた状態で呼びかけられ、えらくはっきりと目が覚めた。
術部は特に痛まない。
尿道カテーテル、酸素マスク、ドレーン、痛み止めの麻酔点滴、栄養補給?の点滴、心電図と、あらゆる管が取り付けられている。
そういえば、術中は気管に太い管を挿すのでのどが痛くなるかも、と聞いていたが、あまり気にならない。

病室に着いたのは16時ごろだったと思う。
看護師さんが血圧などを測ったあと、しばらくして先生が手術の結果を知らせてくれた。
原因となるブラが見つかり、切除できたとのこと。
今回の気胸と関連があるか不明だが、肺で起こる子宮内膜症らしきものは僅かに見られ、術中に婦人科の先生を呼んで確認してもらったそう。

それを聞いたあと、ひとまず原因が取り除かれたことに安堵して寝てしまった。
22時ごろまで、2時間おきに看護師さんが様子を見に来てくれたと思う。
夜は痛みが出てきて寝れなかったが、麻酔を足しつつ(自分で注入量を調節できるボタンがある)翌朝までやり過ごした。